Nomura Piano School
ロシアピアニズムについて
野村 朱理
日本においてよく知られているピアノ奏法はドイツなどのヨーロッパ諸国から伝わったものが主流となっています。これらの地域で生み出された奏法ではピアノの前身となるチェンバロの時代からの長い歴史があります。しかし、現代普及している一般的なピアノと比べチェンバロなどは軽い力で弾くことが出来たため、伝統的な奏法は必ずしも現代のピアノの特徴に適しているとはいえません。
一方、ロシアにピアノが伝わったのは現代の形のピアノが発明されてからになります。このため、ロシアでは他の国々よりもピアノという楽器に対する研究がされ、ピアノの特徴に則した体の使い方や豊かな響きの出し方が開発されてきました。これがロシアピアニズムの起こりとなります。
ロシアピアニズムの特徴は腕からの重さを使って弾くことにあります。日本を含めたヨーロッパから伝わった奏法(チェンバロ時代から受け継がれてきた奏法)は指弾き、ハイフィンガー奏法とも呼ばれ、指の関節がへこまないように関節を曲げて固め、指の独立を目指し、指を上げ下げして弾きます。そして腕は脱力し指で腕の重さを支えます。しかしながらこの奏法は(チェンバロと比較して重い)現代のピアノでは指に負担がかかり、腱鞘炎などで手を壊す危険性があります。一方、ロシアピアニズムでは腕の筋力を使うことで合理的に腕の重さを瞬間的に指にうまく伝えるため、指の関節は緩めたままで楽に弾くことができます。さらに、瞬間的に指を鍵盤の底から離すことで、ピアノの弦自体の振動を妨げることが無くなるために、より豊かな響きを出すことも可能となります。このように手や腕に負荷がかかりにくく豊かな響きを出せる演奏技術を身に着けることで表現の幅を広げることが出来ます。
このような優れた特徴を持つロシアピアニズムですが、日本では普及し始めた段階であり、習得できる教室などは多くはありません。野村ピアノスクールでは数少ないロシアピアニズムを初心者から上級者まで習うことができる機会を提供させていただきます。ご興味を持たれましたらまずは体験レッスンを通してロシアピアニズムがどのようなものであるか知っていただきたいと思っています。どうぞお気軽にお問合せしていただければ幸いです。
